『ワセダ・ブレッター』Waseda Blätter
ドイツ語ドイツ文学コース室に事務局をおく「早稲田ドイツ語学・文学会」では、機関誌『ワセダ・ブレッター (Waseda Blätter)』(年刊)を刊行しています。バックナンバーはコース室(33号館6階)および早稲田大学図書館に備えてあります。
早稲田大学の機関リポジトリ(DSpace@Waseda University)に登録が済んでいる号については、全文をオンラインで読むことができます。 2015.1/27現在、創刊号~第15号のリポジトリ登録・当HPからのリンクづけが終わっています。 |
新しい研究誌の
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大方の人にはあるいは突然の出来事と見えたかもしれませんが,30年以上にわたって活動を続けてきた早稲田大学文学部「ヨーロッパ文学研究会」が,1993年3月末をもって解散し,その機関誌『ヨーロッパ文学研究』も1992年度末発行の40号をもって廃刊となりました。今後はこれまで連合して「ヨーロッパ文学研究会」を維持してきたドイツ文学・フランス文学・ロシア文学の3専修/学会は独立してそれぞれ独自の道を進み,独自の研究誌を刊行することとなりました。
時あたかも「EC統合」が紆余曲折しながらも実現にむけて進捗するなかのことでしたから,この成りゆきを,「EC統合」の将来を占うかのように,あるいはまた全ヨーロッパ的統合への希求と民族的・文化的・国民的分立への要求とがせめぎあう現下のヨーロッパを象徴するかのように受けとる向きもありました。しかしこの解散と独立とは,全ヨーロッ パ的視野の保持を志向した旧『ヨーロッパ文学研究』の理念の放棄を意味するものではありません。むしろ,この総合的見地を統合と分立とが絡み合う現下の状況のなかで再検討・再確認することが,私たちの研究態度ではないでしょうか。様々な問題が,この混迷のなかで新たな研究と新たな評価を待ち望んでいます。特にドイツ語学・文学研究に携わる私たちにとって,旧東ドイツの文学の,旧東ドイツのドイツ語学・文学研究の批判的再検討 の問題は避けて通ることのできない重い課題ではないでしょうか。 このような思いに支えられて,また,旧来の制約を脱することによって,私たちは今,自分たちの独自な要求,自分たちの多様な興味関心にしたがって,もっと自由にもっと豊かに自分たちの機関誌を作ることのできる機会,今までは不可能だった様々な試みを大胆に実行してみることのできる機会を摑みとりました。 私たちは綿密な検討を重ね,そしてこの機会を再び逸することがないために,同志的に結ばれた,実効性のある新たな学会を組織し,新たな活動を展開する道を選択しました。そして今ここにようやく,新しい機関誌 „Waseda Blätter“ (『ワセダ・ブレッター』)の創刊という形で,私たちの新生の第一歩を印します。 1994年3月 早稲田大学ドイツ語学・文学会
会長 大久保進 ※ 第1号より転載。会の名称ならびに会長名は第1号刊行当時のものです。
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