2.Internationale Sommerakademie について
■Internationale Sommerakademieの授業について■
大学院で研究するにあたって、ドイツ語のより実践的な運用能力を向上させ、それだけではなくドイツの大学の実際のゼミナールにも参加し、他の学生と議論を交わすことにも挑戦したい!――私のこの目的に適ったのが、テュービンゲン大学の Internationale Sommerakademie(以下、「アカデミー」と略記)のカリキュラムでした。アカデミーはレベル別の会話の授業と、選択式のゼミナールであるモジュールによって構成されていて、モジュールではドイツ語で専門的な学問に触れ、他の留学生たちと学術的な議論をすることができます。 テュービンゲン大学の夏期短期留学講座は、Internationale Sommerkurs(語学クラス、主に学部生を対象としている)と私の参加したアカデミーに分かれています。アカデミーの参加者はおよそ40名で、初日に行われたテストの結果をもとに各々の語学レベルによって3つのクラスに分けられました。ある程度日常会話ができて、自らの専門分野について書かれたドイツ語の論文を苦労なく読めること(ゲーテ・インスティトュートの資格に即して言えばB2以上)がアカデミーを受講する学生に求められたレベルでした。したがってアカデミーに参加している学生のほとんどは修士課程か博士課程の大学院生で、長期滞在の準備としてこのアカデミーを利用するエラスムス奨学生も多く、彼ら・彼女らの高度なドイツ語運用能力に私は大きな刺激を受けました。 |
アカデミーでは午前中がクラスごとの会話の授業にあてられていました。語学クラスとは違い、いわゆるドイツ語でドイツ語の文法を習うといった授業ではなく、自分の知っている文法や単語を総動員して議論に参加することが求められました(総動員する知識すらない私は最初本当につらかったのですが、周りの助けもあってどうにか慣れました)。
私のクラスでは、学生が3人から4人の小さなグループに分かれ、担任のクリスティーネ・シュースター先生が準備した新聞や雑誌に書かれたアクチュアルな話題について、自由に議論をする時間が多かったです。相手の話した内容を正確に聴き取り、それについて間断なく何かを言わなければならないため、ドイツ語の会話におけるリズムを体に覚えさせ、機敏に自分の意見を述べるための良い訓練になりました。シュースター先生はそれぞれのグループを回り、発言している学生の文法的な誤りを訂正し、より的確な表現を提案し、時には自らも話に割って入り、グループの議論が単なる「会話」に陥らないようにと的確な指導をしてくれました。したがって会話の授業は緊張感がありながらもコミュニカティブで和気あいあいとした雰囲気でした。 |
お昼休みのあとは、4つのゼミナールからなるモジュールの時間です。社会学・経済学、哲学、DaF、異文化コミュニケーション論が開講され、アカデミーの学生はそれぞれの専門分野に即したゼミナールに参加することができます。モジュールの授業はレベル別の会話のクラスとは違い、アカデミーの他クラスの学生と混合されています。4つのゼミナールのうち異文化コミュニケーション論が最も人気でした。
私が参加したのは哲学ゼミナールです。シラーの戯曲をこよなく愛するフランス人やハイデガーを研究しているアメリカ人ら9名の学生が受講していました。このゼミナールの担当は戦後の倫理学、とりわけハーバーマスの思想に興味を持っているフォルカー・シュミット先生。フォルカー先生がゼミナールのテクストに選んだのはカントの Grundlegung der Metaphysik der Sitten (1785) でした。予習してきたことを前提に、受講者のそれぞれの専門領域に引き付けて発言することが求められます(早稲田の「演習」授業の雰囲気を思い浮かべてもらえればと思います)。自由に発言することができる会話の授業とは違い、ドイツ語で哲学の議論をするこのゼミナールは私にとってとても骨の折れる時間でしたが、同時に国籍の違う大学院生と同じテクストに向かい合うことのできた貴重な時間でもありました。 |
■滞在中の生活■
滞在中の生活についても少し触れておきたいと思います。夏期講座に参加中は、大学側が提供してくれる学生向けのWG (Wohngemeinschaft) で生活します。WGは、5から6人くらいの学生の個人部屋(鍵つき)と共同の台所・シャワー・トイレから成るユニット型の住居です。食器や湯沸かし器など、共同のキッチン用品も備え付けられているので自炊するには困りませんでした。私が1カ月を過したのは、WHO(Wohnhäuser Ost、団地のようにWGのビルが建ち並んでいます)と呼ばれる地域です。テュービンゲン大学の建物が山のふもとに集中しているのに対し、WHOは山の中腹に位置しています。したがって、毎日の登下校は路線バス(メルセデスベンツ!)を利用します。バスは5分~10分間隔で運行しているので、大学街や市街地に出るのに苦労はありません。また、WHOのすぐ近くにスーパーマーケットがあるため、日用品を買うのも便利でした。書籍やお土産の購入費、街で遊ぶお金を除いて、1カ月間の食費はだいたい100~150ユーロくらいでした(基本的に自炊をしていたため)。生活する上でもし何か困ったことがあったら、WGのルームメイトに質問するのが良いかと思います。私のWGの住人は、皆テュービンゲン大学の正規の学生だったので、生活機器の使い方をはじめ、おすすめのテレビ番組、街の中の安いレストランについてなど色々なことを教えてもらいました。
以上、授業やWGについて書いてきましたが、テュービンゲンの講座のいちばんの魅力は、先生方をはじめとしたスタッフの心配りだと思います。授業が始まる前に、歓迎のパーティを開いてくれたり、毎週末には近隣の観光地への遠足がもうけられていたりと、参加者同士の交流を第一に考えて下さるような温かさがあったように感じます。ベルリン自由大学、ハイデルベルク大学、マールブルク大学などの夏期講座では、例年400名を超す学生の参加があるそうなので、アカデミーと語学クラスを合わせて100名程度という、比較的小規模で学生同士が親しくなりやすい雰囲気がこのテュービンゲンの講座の魅力と言えるでしょう。
テュービンゲン大学の語学コース・アカデミーについては以下のHPを参照してください。募集要項・費用・授業の様子などの情報を得ることができます。
http://www.uni-tuebingen.de/einrichtungen/verwaltung-dezernate/iii-internationale-angelegenheiten/abteilung-3/deutsch-lernen/sommerkurse.html
滞在中の生活についても少し触れておきたいと思います。夏期講座に参加中は、大学側が提供してくれる学生向けのWG (Wohngemeinschaft) で生活します。WGは、5から6人くらいの学生の個人部屋(鍵つき)と共同の台所・シャワー・トイレから成るユニット型の住居です。食器や湯沸かし器など、共同のキッチン用品も備え付けられているので自炊するには困りませんでした。私が1カ月を過したのは、WHO(Wohnhäuser Ost、団地のようにWGのビルが建ち並んでいます)と呼ばれる地域です。テュービンゲン大学の建物が山のふもとに集中しているのに対し、WHOは山の中腹に位置しています。したがって、毎日の登下校は路線バス(メルセデスベンツ!)を利用します。バスは5分~10分間隔で運行しているので、大学街や市街地に出るのに苦労はありません。また、WHOのすぐ近くにスーパーマーケットがあるため、日用品を買うのも便利でした。書籍やお土産の購入費、街で遊ぶお金を除いて、1カ月間の食費はだいたい100~150ユーロくらいでした(基本的に自炊をしていたため)。生活する上でもし何か困ったことがあったら、WGのルームメイトに質問するのが良いかと思います。私のWGの住人は、皆テュービンゲン大学の正規の学生だったので、生活機器の使い方をはじめ、おすすめのテレビ番組、街の中の安いレストランについてなど色々なことを教えてもらいました。
以上、授業やWGについて書いてきましたが、テュービンゲンの講座のいちばんの魅力は、先生方をはじめとしたスタッフの心配りだと思います。授業が始まる前に、歓迎のパーティを開いてくれたり、毎週末には近隣の観光地への遠足がもうけられていたりと、参加者同士の交流を第一に考えて下さるような温かさがあったように感じます。ベルリン自由大学、ハイデルベルク大学、マールブルク大学などの夏期講座では、例年400名を超す学生の参加があるそうなので、アカデミーと語学クラスを合わせて100名程度という、比較的小規模で学生同士が親しくなりやすい雰囲気がこのテュービンゲンの講座の魅力と言えるでしょう。
テュービンゲン大学の語学コース・アカデミーについては以下のHPを参照してください。募集要項・費用・授業の様子などの情報を得ることができます。
http://www.uni-tuebingen.de/einrichtungen/verwaltung-dezernate/iii-internationale-angelegenheiten/abteilung-3/deutsch-lernen/sommerkurse.html